福岡大学医学部整形外科学教室

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専門グループ

股関節グループ
教授 山本 卓明、助教 木下 浩一、その他医師8名で診療しております。
外来診療は火曜日午後 (山本:再診のみ、木下:新患、再診)、水曜午前(山本:新患、再診)、木・金曜午前(木下新患・再診)に行っております。
手術は山本(後方アプローチ人工股関節置換術、大腿骨側骨切り術)、木下(前方アプローチ人工股関節置換術、骨盤側骨切り術、股関節鏡下手術、骨盤・大腿骨外傷)が担当しております。
受診される際はかかりつけ医師より当院地域医療連携室へご紹介いただくとスムーズな受診が可能ですので、よろしくお願いいたします。

寛骨臼形成不全

股関節は寛骨臼 (骨盤側の受け皿)に大腿骨頭がはまる形で形成される球関節です。
大腿骨頭に対する寛骨臼のかぶり具合が浅い状態を寛骨臼形成不全といいます。
関節がやや不安定であり体重を受ける面積が狭いなどといった理由で、変形性股関節症(股関節の軟骨がすり減る病気)の原因となります。
日本人における変形性股関節症の原因の約8割程度が寛骨臼形成不全によるものといわれています。
体重をかけて立つ、歩く際に股関節部分に痛むといった症状が続く方で50歳未満の方(50~64歳の方は関節の状態によります)に対し、日本では寛骨臼のかぶりを改善するための骨切り術がなされてきました。
当科では1995年より前教授 内藤正俊が考案した寛骨臼回転骨切り術の一つである Curved Periacetabular Osteotomy (CPO)を行っています。
従来の骨切り術と違う主な利点は
1.仰向けに寝て行う
2. 股関節前方に体格に応じて約7~10 cm の小さい皮膚切開を加える
3.中殿筋などの歩行や片足立ちに重要な筋肉、大腿直筋という膝を伸ばす筋肉をいっさい剝がさないといった点です。
女性の患者さんが大半であるため、手術のキズが小さいというのは非常に喜ばれます。
95%の方が10年以上自分の関節を保っておられますが、やはりある程度軟骨がすり減ってからこの手術を受けられた方は、術後に軟骨がさらにすりへり人工関節置換術を受けておられます。
手術後3日目から手術側の脚に徐々に体重をかけていき、手術後約2か月半で全体重をかけます。ほとんどの患者さんは全体重をかけられるようになってから転院先の病院を退院されています。
通常手術後3か月で杖が外れ、手術後6か月で重労働やスポーツ復帰を許可しています。

変形性股関節症

前述の寛骨臼形成不全や外傷、その他の原因で股関節の軟骨がすり減ってしまった方に対して人工股関節全置換術 (Total Hip Arthroplasty: THA)を行っています。
最大の利点かつ目的は痛みなく歩けるようになることです。現在の人工股関節はポリエチレンライナー(軟骨の代わりになってくれる部分)や表面加工の進歩により、おおよそ9割の方が20年以上もつであろうといわれています。
主な欠点は脱臼と感染症です。近年は各施設とも様々な工夫を行うことで脱臼率は1%未満になっていますが、それでも生じているといった現状です。
手術の際に股関節に到達する方法として大まかに股関節の前方、側方、後方いずれかからアプローチしますが、当院では前方アプローチ (Direct Anterior Approach) と後方アプローチ (Posterior Approach)を用いています。
前方アプローチの利点は手術のキズが7~10 cm 程度と小さい、筋肉を切ったり裂いたりせずに手術が行えるため術後の回復(歩く、階段を上るなど)が早い、術後の痛みが少ない点です。
後方アプローチで行う場合はいったん筋肉を骨から外しますが、最後にきちんと骨に縫い付けることで脱臼に対するリスクを軽減しています。
感染症対策として人工関節置換術に適したクリーンルームで宇宙服のような防護服を着て行う、抗菌薬の適切な使用などに努めています。

特発性大腿骨頭壊死症

大腿骨頭が壊死する(腐る)病気に大腿骨頭壊死というものがあります。様々な原因がありますが、アルコール関連、ステロイド関連、全くの原因不明の3つを特発性大腿骨頭壊死とよび厚生労働省の難病指定疾患となっています。当科では可能な限り大腿骨骨切り術を行い、自分の股関節を温存すること目指しています。
ただし、壊死の範囲が広い方、すでに大腿骨頭がかなり圧潰している方に対しては人工股関節置換術を勧める場合があります。

大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折

大腿骨頭壊死症と間違われやすい疾患に、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折があります。大腿骨頭表面の軟骨は軟骨下骨という梁と海綿骨という柱に支えられています。
これらの部分に骨折が生じることを大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折といいます。
現教授 山本卓明が学会誌に発表したことで広く知られるようになりました。骨強度が落ちたご高齢の方に生じやすく、日常生活を送っているだけで生じることがあります。
大腿骨頭壊死症とは違い骨折ですから骨折の範囲が狭く、骨頭が圧潰していない方であれば安静を保つことで治すことが可能です。骨頭が圧潰すると軟骨摩耗がすすみ人工股関節全置換術が必要となります。青年や壮年の方にも生じる場合があります。

股関節唇損傷、股関節インピンジメント症候群

寛骨臼の縁の部分には関節唇(かんせつしん)というゴムパッキンのようなものが付着していて股関節の安定性の一部を担ってくれています。
この関節唇が傷むと股関節を深く曲げた際に痛みを自覚するようになります。
また、寛骨臼前縁と大腿骨頭の前方部分が衝突する(インピンジメント)してもやはり股関節を深く曲げた際やあぐらをかく際に痛みを自覚することがあります。
これらに対する治療として近年、関節鏡を用いた手術が数多く行われるようになってきました。当院でも股関節鏡を用いて関節唇縫合術や部分切除術、骨軟骨形成術 (骨が出っ張った部分を削る)を行っています。ただし、寛骨臼形成不全や、すでに軟骨が痛み始めている方に対して行った場合の術後の経過不良例の報告がなされており、適応を絞って行っています。
そもそも手術を行わず保存的治療を指導するのみで痛みが治まる方もおられます。また、関節唇損傷として受診される方の中には実は関節外の筋肉が傷んでいるために痛みを感じている方もおられます。
MRIやエコーを用いた注射を行い適切な診断、治療を行います。

大腿骨近位部骨折

4人に1人が65歳以上という超高齢化社会を迎えました。骨密度は20歳をピークに減少するといわれ、女性は閉経後に特に骨密度が減少します。
そのように骨強度が低下した方が転倒された際に起こりやすい骨折の一つが大腿骨近位部骨折(ふとももの付け根の部分の骨折)です。高齢者における原因の約8割は転倒によるものです。
骨折すると通常は動くことも困難となりますので救急車で病院へ搬送してもらうことになります。
当院で心疾患、頭蓋内疾患など重症の疾患の治療後で当院に通院中の方に対し、当該科と連携して骨折治療を行っております。
なるべく早く手術治療を行う方がよいので、他院での治療が可能と判断した場合には近傍の関連施設へ転院搬送の上で早期治療できるよう連携しています。

骨盤骨折

当院は福岡市の3次救急を担う救命救急センターを有していますので交通外傷などで搬送された方の中には骨盤を骨折されている方がおられます。
救命救急センターには当科から3人の整形外科医が出向し常勤しております。骨盤骨折に対する手術治療を当科 股関節診療班が担っています。

膝関節グループ
膝班は膝関節温存と膝機能再建を目的として、スポーツや交通外傷をはじめ変性疾患を主体とした小児から成人まで全年齢の膝関節疾患の診療活動を行っています。
近年、増加傾向にあるスポーツ外傷の膝前十字靱帯損傷に対する鏡視下靭帯再建術では、患者さんの筋力、スポーツ種目、活動レベルなどから、症例に応じた自家移植腱を決定し、手術を行っています。
その結果、術後に良好な臨床成績やスポーツ復帰を獲得しています。また、これまでに治療が困難であった骨軟骨損傷の症例には自家培養軟骨移植術を行っています。
これは従来の骨髄刺激法や骨軟骨移植術などの治療では難渋していた若年者の広範囲軟骨損傷の症例に治療適応があり、良好な長期臨床成績の獲得が期待されています。
さらに当科では半月板手術、膝靱帯再建術、高位脛骨骨切り術、膝関節制動術と同時に行うことによって、治療の適応を拡大し、その有効性について検討中です。
幅広い年齢層にみられる半月板損傷では可能な限り関節鏡で半月板縫合術による温存を行い、修復困難な場合でも半月板のhoopを温存する鏡視下半月板切除術で対応しています。
変形性膝関節症に対する 高位脛骨骨切り術では、独自に工夫を加えた方法で 優れた臨床成績を獲得しています。高度の変形や関節外変形を伴う変形性膝関節症には、ナビゲーションシステムによる人工膝関節置換術を行っています。これにより正確な手技で手術が行えるようになり良好な長期成績を獲得しています。
膝の手術後のリハビリにも様々な工夫を加えており、スポーツ復帰時期の決定には表面筋電図や筋力を測定して客観的な評価を行っています。
変形性膝関節症や人工膝関節後のリハビリにも独自のプログラムを作成し、 サテライト病院と協力しながら早期の機能回復に努めています。
特に近年、本邦の病院施設における高位脛骨骨切り術、後十字靭帯再建術の年間症例数はトップクラスで、年間の手術症例数も400例を超えるようになりました。今後も罹患前の膝機能のレベルまでの回復のために研究、診療活動を行って参りますので、よろしくお願い致します。
肩関節グループ
五十肩からスポーツ障害、外傷や骨折まで、肩関節に関するあらゆる病態に対応いたします。症状や病態に応じて、薬物療法、理学療法、手術療法を行っています。
手術療法では、全国的にトップレベルの肩関節手術例数を有し、年間に約150例の手術を行っています。2014年から本邦に導入された新しい人工関節であるリバース型人工肩関節全置換術にも多くの手術実績があります。

治療方針

運動器疾患では保存療法が第一選択で、肩関節疾患でも例外ではありません。
お薬や注射、リハビリテーションなどの保存療法で症状が軽快しない場合に、手術療法を検討します。
肩関節疾患に対する手術療法は、直視下手術と関節鏡視下手術に分けられます。
骨折や人工関節置換術は直接患部を切開する直視下手術で対応しますが、難治性の五十肩、腱板断裂、肩関節不安定症、スポーツ障害には関節鏡視下手術を行っています。

鏡視下手術について

長さ5mm程度の小さな切開を数カ所設けるだけで手術が可能です。
侵襲(体に対するダメージ)が少ないため術後疼痛が軽いばかりでなく、術後の筋力低下が生じないというメリットがあります。
当科では、肩関節不安定症の89%、腱板断裂の94%を鏡視下手術で対応しています。

直視下手術について

直接患部を切開して手術を行います。
骨折部の確実な整復(元の形に整えること)や人工関節の設置には、直視下手術が必要となります。

リバース型人工肩関節全置換術

腱板断裂に伴う変形性関節症や修復困難な腱板断裂患者さんが対象となります。
変形性関節症とは、軟骨がすり減って骨同志がこすれる状態になってしまっている状態です。股関節や膝関節など、体重がかかる部位に多い病気ですが、肩関節にもみられます。
肩関節は、軟部組織(骨以外の靭帯や筋肉、腱板など)で支えられる割合が大きいのが特徴で、腱板なくなってしまうと従来型の人工関節は使用できませんでした。
2014年に認可されたリバース型人工肩関節は、この問題を解決できる人工関節です。
欧州では30年の歴史がありますが、手術合併症が少なくありません。
このため、本邦ではこの手術を実施すれために施設や医師に厳しい基準が設けられています。年齢や関節の動き、関節変形の程度などの病態を詳しく調べて、手術対象となるか検討します。

五十肩

中年期以降に肩関節の痛みと肩の動きの制限(肩が上がらなくなったり、背中に手が届かなくなったりする)が生じてくる病気です。
加齢の影響によって肩関節包が縮んでくる事が原因と言われています。
病気はじめは、肩の強い痛みが特徴です。特に夜間就眠時の痛みが強く、睡眠が障害されることもあります。1-2ヵ月すると、痛みは軽くなりますが、肩の動きが次第に悪くなります。
この時期にリハビリテーションを行うと、ほとんどの方の痛みや動きの制限は軽快します。
しかし、数ヵ月 たっても痛みや動きの制限が治らない場合があります。
このような難治例には内視鏡による手術を行います。初診時にすぐに手術をお勧めすることはありませんので、肩関節の痛みとともに動きの制限ある場合には受診をお勧めします。

腱板断裂

五十肩に似て、肩関節に痛みと可動域制限があらわれ、中年期以降に発症します。
腱板断裂は、肩関節を支えている「腱板」という腱が断裂することが原因で痛みや動きの制限が生じます。
腱板は、外傷がきっかけで断裂することもあれば、誘因のない場合もあります。
このため、患者さんは、五十肩と勘違いし、病院を受診するのが遅れる傾向にあります。腱は4本あるために、1本ないし2本が断裂した場合には、適正なリハビリを行うと症状が軽快して手術をしないですむ場合があります。
しかし、断裂した腱板は、自然につながる事はありませんので、治療の選択には専門医のアドバイスが必要です。

インピジメント症候群

スポーツや仕事での使いすぎや打撲などで、腱板機能が低下することによって発症します。
挙上角度の 70-120°あたりで肩の痛みがおきるのが特徴で、ペインフルアーク(有痛孤)と称されます。
患者さんは食卓の急須や醤油差しに手を伸ばそうとすると痛みがおきたり、反対側の肩に手を持っていこうとすると痛みがおきたりします。
「どうかした時に、痛みが走る。」とか、「腕の角度によって、肩の外側―腕にかけて痛む。」といった症状が聞かれます。
こうした症状を感じた場合には受診をお勧めします。

肩のスポーツ障害

スポーツによって生じる肩の障害には、多くの疾患が含まれます。
代表的なものに、関節唇損傷、腱板不全断裂、インピンジメント症候群、ベネット症候群、末梢神経麻痺などがあります。
多くは、スポーツを行うときだけの症状で、日常生活では問題はありません。
一般に患者さんは、可動域や筋力は正常で、レントゲン写真にも異常がありません。このため、病院を受診したのに、異常なしといわれる場合もあるようです。
診察室だけでは診断が不可能な場合は、実際に投球してもらって、フォームを分析したり、ブロック注射をしたりしながら運動負荷をかけて診断を進めていきます。
大部分は、リハビリテーションでスポーツ復帰が可能ですが、効果不十分で復帰不能な場合は、内視鏡手術でピンポイント修復を行います。手術創が小さく、正常な筋肉に損傷を与えないため、術後の痛みは少なく、筋力低下はおきません。

肩関節不安定症

もともと肩関節は不安定な関節です。
肩関節が脱臼した後に、脱臼を繰り返しやすくなる状態を反復性肩関節脱臼といいます。
最初の脱臼で、小さな骨折が生じたり、関節唇という軟骨の断裂が生じたりします。
これらの損傷が自然に癒合することがありませんので、手を挙げたときに抜けるような違和感が生じたり、脱臼が繰り返し起きるようになったりします。
日常生活動作に支障がある場合や、スポーツに障害がある場合には、内視鏡 による手術をお勧めします。手術創が小さく、正常な筋肉に損傷を与えないため、術後の痛みは少なく、筋力低下はおきません。

足の外科グループ
足関節および足部の疼痛で悩まれる患者さんは数多くおられます。
ところが膝や腰と違い、病院に行かずに我慢して、いよいよ我慢できなくなってから受診される患者さんが多いのが現状です。早期であれば手術などをせずに足底板、装具、整形靴などが著効する場合も多くあります。足部・足関節の疾患にお悩みの方は一度御相談ください。


外来案内

 
 
 午前午後午前午後午前午後午前午後午前午後
吉村       
金澤       
萩尾       

足の主な病気と治療

足部および足関節のスポーツ障害、足関節靱帯損傷、軟骨損傷、骨棘障害、過剰骨障害、足関節骨折、足関節捻挫、アキレス腱断裂、腓骨筋腱脱臼、先天性内反足、小児扁平足、小児外反母趾、フライバーグ病、ケーラー病、足根骨癒合症、外反母趾、強剛母趾、種子骨障害、扁平足、後脛骨筋腱機能不全症、変形性足関節症、距骨下関節症、足底腱膜炎、モートン病、足根管症候群、末梢神経障害、三角骨障害、インピンジメント

外反母趾

外反母趾とは母趾が付け根でくの字状に外側に曲がってしまう疾患です。近年、ファッ ション性の高い先の細くなったハイヒールやミュールなどを履く機会が多くなり、若い女性を中心に増加傾向にあります。外反母趾が軽度の場合は、足趾の体操を行ったり装具を装着して治療します。 変形が進み痛みを伴う場合には手術療法が考慮されます。 当院ではDLMO法、中足骨水平骨切りなどを中心に患者さんに合った手術法を選択して行っています。 当院での入院期間は約1週間です。

三角骨障害(足関節後方インピンジメント症候群)

バレエ、サッカーなど足関節を底屈強制するスポーツに多い疾患です。従来は切開し て手術を行っていましたが現在は内視鏡で約5ミリの2カ所の切開で行っています。 スポーツ復帰は約1ヶ月可能です。

変形性足関節症

変形性足関節症は膝や股関節ほど多いものではありませんが、多くの人が我慢していることの多い疾患です。 外傷(骨折、靱帯損傷)後に発症してくることが多く、少しずつ軟骨がすり減って疼痛が強くなっていきます。治療は、まず投薬や装具療法を行います。 効果の得られない場合は進行の程度に応じて、足関節鏡で関節内を掃除したり(関節鏡視下滑膜切除、関節鏡視下デブリドマン)、足関節の角度の矯正を行ったり(脛骨骨切り術)、程度のひどいものに対しては鏡視下関節固定術や人工関節置換術を行っています。

足関節外側靱帯損傷

足関節外側靱帯損傷は初期治療が重要です。一般的な治療を受ければ治癒する事が殆どです。
ところが軽視されがちで十分な治療を受けずに放置すると、繰り返し受傷したり、陳旧性に移行し日常生活やスポーツ活動に支障を来してしまいます。
また関節内の軟骨を損傷してしまうことも少なくありません。最終的には変形性足関節症まで至り、歩くのも困難になることがあります。
当院では陳旧性に移行し不安定性や疼痛が強い場合は鏡視下靱帯修復術を行っています。術後は約1~2ヶ月でスポーツに復帰可能です。

距骨骨軟骨損傷(距骨離断性骨軟骨炎)

足関節内の軟骨と骨が剥がれ落ちてしまう疾患です。完全に剥がれ落ちた場合は関節鼠となってしまいます。
多くの場合は、足関節捻挫後に疼痛が持続して発見されますが、レントゲンやMRIでは診断がつかず関節鏡でようやく診断が得られる場合あります。
画像診断と関節鏡を駆使して病期に応じた様々な治療を行い良好な治療成績が得られています。

偏平足障害

近年大人における扁平足障害が増加しています。多くの場合が後脛骨筋腱機能不全によるものです。
適切に治療していないと足部足関節の筋、腱のバランスが崩れ変形が進行し日常生活にも支障を来すこことがあります。
腱鞘鏡(tendoscopy)、腱移行、骨切り術などの外科的治療も成果を挙げています。

足関節鏡

当院では足関節鏡による低侵襲手術を行っています。
レントゲンやMRIでも把握困難な病変を関節鏡で確実に診断し治療も同時に行うことが可能です。
早期にスポーツ活動や社会復帰が可能となります。

脊椎グループ
脊椎・脊髄グループは肩こり・腰痛、手足のしびれ・痛みの原因となる頚椎から腰椎までの、変性疾患、腫瘍性疾患、炎症性疾患、外傷などあらゆる疾患に対応しています。
疾患としては、 頚髄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などが大多数を占めますが、脊椎脊髄腫瘍などの特殊で難治性の疾患も少なくありません。手術適応は厳密に決定しており、決して目先だけの短期治療成績にとらわれず自然経過等を十分に踏まえた上で長期成績をも見据えた方法を それぞれの患者さんごとに決定 しております。手術方法は従来のオーソドックスな手術法から、脊椎インスツルメンテーション、鏡視下低侵襲手術 などの最新の技術も駆使し手術を行っています。
難度の極めて高い手術も行っており、術前術中の脊髄モニタリングも行っています。
手術適応とならない患者さんにもわかりやすく丁寧に病状、治療について十分に理解いただけるように説明しており、手術だけではなく保存治療も積極的に行っております。
当院救命救急センターとも連携し、頚椎損傷、胸腰椎脱臼骨折、四肢麻痺などの 脊椎脊髄損傷の患者さんにも24時間対応し治療に当たっています。年間の脊椎脊髄手術例数は約130例です。
手の外科グループ
絞扼性神経炎、特に手根管症候群に対して最小侵襲の鏡視下手術を多く行っており、透析後の発症例を含め、多くの患者の福音となっています。
また、難治性 舟状骨偽関節に対する遠位舟状骨摘出関節形成術、キーンベック病に対する橈骨楔状骨切り術、TFCC損傷(三角線維軟骨 複合体損傷)に対する手関節鏡視下手術、母指CM関節症(手根中手関節症)に対する関節形成術などで優れた臨床成績を得ており、国内外に広く成果を発信しています。
外来手術も含め、年間の手の外科手術例数は約200例です。

手の外科で扱う代表的疾患・治療について

手根管症候群

手掌の中央で神経が圧迫されて生じる疾患で、中年以降の女性の方に多く見られます。親指・人差し指・中指にしびれ、痛みが出て、特に明け方に強く生じて手を振ることで楽になる方も多いようです。進行してくると親指の付け根の筋肉がやせてきて、つまみ動作や細かい作業がしづらくなります。まずは手首の固定や飲み薬などで様子をみますが、日常の作業に支障がある場合は手術が必要です。通常手掌で神経を圧迫している靭帯を切り開く手術をしますが、当院では内視鏡を使った手術を行って早期回復に努めております。

舟状骨骨折・偽関節

スポーツや交通事故で転倒して手をついたときに起こりやすい、手の甲の骨の骨折です。もともと血行が悪い骨で、また捻挫と思って放置されることも多く、骨がつかずに関節のように動いて手首の親指側の痛みが続く偽関節になることもあります。通常はギプス固定で治療しますが固定が長期に及ぶため、最近では特殊ネジを使って治療期間を短縮させることが可能になりました。また数回の手術を行っても骨折が治らない時は、最終的に手首の働きを大きく損なう手術が必要になる場合がありますが、当院では条件があう患者さんには、舟状骨の一部分を取り除いて症状を早く軽減させる特殊な手術も行っております。

キーンベック病

手を使った後に手首の痛みと腫れがみられ、徐々に握力が低下し手首の動きが悪くなる病気です。原因は不明ですが、手の甲の月状骨という骨がつぶれてくる病気で、職業的に手をよく使う青壮年の男性に多く見られます。症状・年齢によって治療が変わりますが、当院では症状が取れない方には積極的に手術を行って良い成績を収めております。

三角線維軟骨(TFC)損傷

手首の小指側の痛み・引っかかり感が主症状で、スポーツ・転倒時の捻挫や手首の酷使で生じる軟骨損傷が原因です。X線では異常を認めないので、造影検査や MRI撮影が診断には必要となります。安静・固定などの治療でも症状が取れないときには手術が必要となります。当院では、内視鏡を用いて損傷した軟骨を部分的に取り除いたり縫合する手術を積極的に行っており、プロ選手をはじめ多くの方が早期にスポーツ・職場へ復帰されています。

母指CM関節症

物をつまむ・ふたを開ける時などに親指の付け根に痛みを感じ、進行してくると関節がずれて外からも変形がわかるようになります。使いすぎ・老化・けがなどで親指の付け根の関節が変形して起こる病気で、通常は年輩の女性に多くみられます。固定・注射など外来治療が有効な場合も多く、お困りの方は専門医を受診されて下さい。 外来治療でも症状が取れないときは手術が必要となることもあります。色々な手術法がありますが、当院では、親指を外に広げる腱の一部を利用した関節形成術(トンプソン法)を国内の他施設に先駆けて行っており、好成績を得ております。

その他

指・手首の親指側での腱鞘炎(ばね指・ドケルバン腱鞘炎)、肘外側の筋肉の付け根の炎症(テニス肘)、手首での骨折(橈骨遠位端骨折)などが手の外科で多く見られる疾患です。手・肘の痛み、しびれでお困りでしたら当院手の外科診療斑へお気軽にご相談下さい。

小児整形外科グループ
先天性筋性斜頚、先天性内反足 とともに 先天性股関節脱臼、ペルテス病・大腿骨頭すべり症などの股関節疾患では、基本に忠実な治療を行っています。骨折、化膿性関節炎、骨髄炎 などには迅速に対応し、積極的に治療しています。 他科と密接に連携した治療が特徴であり、 脳性麻痺、血友病、骨系統疾患 では小児科と共同、 二分脊椎では小児科と脳外科と泌尿器科との4科で共同して治療しています。手指・足趾の先天奇形に対する治療や骨延長術も行っています。

小児整形外科の主な病気と治療

先天性股関節脱臼

赤ちゃんが生まれる前後に股関節が脱臼し、その後股関節の発育が悪くなる病気です。放っておくと、大人になったときに痛みが起こります。 赤ちゃんのうちに装具で治療を開始する必要があります。

先天性内反足

足の裏が生まれつき内側を向いている足の変形です。できるだけ早く治療を開始することが必要です。 ギプスで変形を戻るところまで戻し、残った変形を手術で治す治療を行っています。

ペルテス病

幼稚園から小学校低学年くらいに起こる股関節の病気です。
股関節の変形を作らないように、装具で治療を行います。手術が必要になることもあります。

骨折・化膿性関節炎・骨隨炎

迅速な治療が必要です。手術も積極的に行っていい結果を出しています。

骨・軟部腫瘍グループ
小児から高齢者にわたる転移性を含めた骨軟部腫瘍全般を対象に治療を行っています。
当科においては、欧米と同じく腫瘍内科、小児科および放射線科との緊密な連携で悪性骨軟部腫瘍に対して集学的治療を行い、治療成績の向上を図っています。
また、近年の分子生物学的研究の進歩に伴い、病理学教室と連携し従来の組織診断に加えて染色体・遺伝子分析も取り入れています。
骨軟部腫瘍の患者様に対して全人的にサポートできるように全力で治療に当たっています。
関節リウマチグループ

年間登録患者数は約700人と豊富な経験が蓄積されてきています。
リウマチのみならず、全身性エリテマトーデスなどの周辺疾患による全身の運動器障害も治療しています。
近年の抗リウマチ薬や生物学的製剤の開発により、 保存的治療が着実に進歩しています。
保存的治療で寛解しない症例には、できるだけ侵襲を少なくして回復が得られる方法を採用しています。
肩関節、股関節、膝関節から手指、足指にいたるまで、人工関節置換術や鏡視下滑膜切除術を行っています。
また脊椎病変についても、最新の技術を取り入れた手術が施行されており、関節手術と同様に患者満足度の高い優れた臨床成績を得ています。

  • 関節リウマチグループ
骨粗鬆症について・医療設備

骨粗鬆症について

汗がでる程度の運動やカルシウム摂取など、骨折を未然に防ぐための生活習慣の指導を重視した診療を行っています。必要に応じて 骨塩定量を行い、骨吸収抑制剤や活性型ビタミンDを投与しています。原則として脊椎圧迫骨折には保存的治療、大腿骨頚部骨折には手術を行っています。年間の骨粗鬆症関連骨折の手術例数は約50例です。

医療設備

人工関節用無菌手術室、脊椎・神経手術用湯発電位測定器具、レーザー血流量測定装置、組織内圧測定器、骨塩測定装置(DEXA)、MRI、CT、筋電図、歩行分析、加速度測定装置、三次元位置分析装置、サーモグラフィー、リハビリテーション施設